とあるコピーライターの怪顧録。

80年代のコピーライターブームから、バブル景気、リーマンショック、3.11、そしてコロナ禍まで、見たこと、聞いたこと、感じたこと。


皆さん、こんにちは!そして、こんばんは!コピーライターのMです。今日はクラウドソーシングにTRYしたお話をします。お付き合いください。

もう昨年の11月の話になりますが、ぽっかり時間が空いたので一度クラウドソーシングにTRYしてみようと思ったんです。なにせ初めてなので、このブログの設定と同じように、登録だけでも四苦八苦。何とか応募することができました。

一応コピーライター歴40年で、今も現役の私としては、薄っぺらいプライドから、コンペ形式のネーミングおよびキャッチフレーズ(厳密にはスローガンだと思うのですがね)を10案件ほどピックアップ。それぞれに付きコピー1案限定で応募しました。果たしてその結果は…
マルバツ



改めてクライアントとのコミュニケーションの重要性を認識。

なんと全敗です。とはいえ、お気に入りマークがついたコピーが5案、お礼が来たのが2案、また1案はクライアントがどの案も採用しなかったということで、分配金が出たのですが、金額が少な過ぎて現時点では受け取ることができません。

クライアントに採用されたコピー案はすべてチェックさせていただきました。その中で1〜2案は「やられた!」と感じましたが、他はどこかで見たようなコピーだったり、クライアントの依頼内容に本当に合っているの?と思ったりしてしまうものです。まっ、負け惜しみといわれても仕方ないですがねw

今回のTRYで改めて思ったのはクライアントとのコミュニケーションの大切さです。コピーは一発で決まることもありますが、クライアントと何回かやり取りすることも多いです。

理由としてよくあるのは、クライアントの考えがしっかり定まっていないことと、コピーライターがクライアントの想像を超えたり、意表を突いたりするコピー案を出すことです。

クライアントが自分の会社や製品のことを贔屓目なしで、冷静な目で見て判断することは非常に難しいことでなんです。それは自身の履歴書を書くのが難しいのと似ています。伝えたいことがアレもコレもと絞り切れず、アピールが散漫になったり、本当に伝えるべきポイントを見失ったりしてしまうでしょ。

コピーライターは第三者の目を持っている?

そのようなことを避けるために、第三者として冷静に判断できる広告代理店やコピーライターが存在しています。それに、だからこそ最初に明確なコミュニケーション戦略を立てることが重要なんです。

コピーライターはクライアントからの要望をとことん聞きますが、すべて鵜呑みにはしません。ターゲットの視点でも考えを巡らします。

例えば、男性のコピーライターが女性向け製品やサービスを担当するのは珍しくありません。そんな場合は、ターゲットである女性の意見を聞いたり、リサーチ結果を見たりしながら、女性の視点で考えたり、時には女性に憑依したような状態になることもあるんです(笑)。

クラウドソーシングでは、案件の詳細欄にクライアントの要望などが記されています。これは一種のコミュニケーション戦略ともいえますが、何を訴求したいのか正直わかりにくいものが多かったです。

もし戦略策定の段階からコピーライターが絡んでいれば、コピーの方向性がより明確になり、コピーを書くのも、選ぶのも、やりやすくなるはずです。

今抱えている仕事が一段落して、精神的にも立ち直ったら、再度クラウドソーシングに挑戦しようかしらん?還暦過ぎコピーライターの戯言でした。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。今後も“TRY”LEARN”の精神で色々チャレンジしていきますので、宜しくお願いいたします。



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皆さん、こんにちは!そして、こんばんは!コピーライターのMです。今日は私が『好きなコピー』と『嫌いじゃないコピー』について書かせていただきます。

私は80年代の“コピーライターブーム”に、奇跡的に広告業界に紛れ込むことができ、今もコピーを書いています。残念ながら、私自身は「あのコピーは××さんの作品」と言われるほど、有名なコピーライターにはなれませんでしたが、地道に仕事をこなし、幾つかの広告賞もいただきました。

そんな“普通のコピーライター”の私が選んだ『好きなコピー』と『嫌いじゃないコピー』です。何せ還暦過ぎですので、皆さまにとっては古いコピーがメインになると思いますが、お付き合いください。

好きなコピー

あの頃、目標だったコピーの名手たち。

コピーライターブームの真っ只中に、広告制作会社に入った私にとって、糸井重里氏、仲畑貴志氏、真木準氏は、まさに憧れの的。彼らに一歩でも近づこうと、暇さえあればTCCコピー年鑑やADCデザイン年鑑などを読み漁っていましたね。

幸いにも私が入社したナショナル宣伝研究所は、日本で一番古い広告制作会社で、コピーやデザイン関連の書籍類が、オフィスの壁一面の本棚に所狭しと並んでいて、新人にとっては良い環境でした。これまで私の作品もADCデザイン年鑑には幾つか載りましたが、TCCコピー年鑑には名前のみが3回ほど載っただけです。いつも準新人賞止まりだったもので…悔しいです!

当時は糸井氏のおいしい生活。」西武百貨店)、仲畑氏の「好きだから、あげる。」(丸井)、真木準氏の「でっかいどお。北海道。」全日空)などのコピーが注目され、黒子だったコピーライターが、ちょくちょく表舞台に登場するようになっていました。マドラ出版から各氏の作品集(全仕事)が出され、私は秋山晶氏と土屋耕一氏の作品集も購入。そうそう『コピーライターズスペシャル』(成文堂新光社)という雑誌もありましたね。とある弟子に貸した後、すべて行方不明になっています。

「やられた!」と感じた、好きなコピー。

さて、私の好きなコピーですが、憧れの的だった糸井氏ですと「サラリーマンという仕事はありません。」(西武セゾングループ)、仲畑氏では「カゼは社会の迷惑です。」(武田製薬)、真木氏は「恋が着せ、愛が脱がせる。」伊勢丹)でしょうか。コピーの裏に物事の真理が垣間見えるのが、とても好きです。

でも、一番好きなのは「向き不向きより、前向き。」、このコピーは私の座右の銘にもなっています。確か『劇団ひまわり』の新聞広告のコピーで、オリコミ広告(現オリコム)のコピーライターの方が書いていたはずです。

他に好きなのは「地図に残る仕事。」大成建設)、「なにも足さない、なにも引かない。」サントリー)。また「負けるな、相手は小学生だ。」(ライオン/全日本バレーボール小学生大会)を見た時は、「やられた!」と思うと同時に笑いました。それぞれ切り口(発想)が凄いところが好きです。好きなコピーを挙げ出したら限がないので、とりあえずこの辺で止めておきます。

「ニヤッ」とさせられた、嫌いじゃないコピー。

次に嫌いじゃないコピーですが、まず「大いなる味と香り。」マールボロ)です。土屋耕一氏が書いたもので、CMのナレーションでは「大いなる世界から広がる味と香り。」だったと思います。これは原文「Come to where the flavor is. Come to Marlboro Country.」の意訳コピーなのですが、原文との付かず離れず感が堪りません。私もマールボロを担当していたので、その苦労がわかります。

「恋人は、しょせん、素人です。」(東京ヘルス)も嫌いじゃないです。まさに真理!でも、このようなクライアントを担当することなんて、滅多にありませんからね。

南無阿弥陀仏の暇もない。」ブルース・リー/ドラゴン危機一髪)も嫌いじゃない。私が中学生の時からブルース・リーのファンだったということもありますが、これを書いた杉山明人氏は私の先輩です。

彼はナショナル宣伝研究所から仲畑広告制作所に移り、コピーライターとして一世を風靡。2012年に逝ってしまいましたが、コピーにスピード感があって、非常に彼らしいです。

それと時価が恐くてすしが食えるか。」(新潟・港すし)。ローカル紙に載った広告コピーなのですが、新潟で一番高い寿司屋がズバッと言い切っているのが素晴らしい!もちろん、この店のネタもシャリも素晴らしいです。

どうして知っているかって?実はこの寿司屋の三代目の店主が、小学校の同級生なんです。昨年、数十年ぶりに再会し、何回か店にも行かせていただきました。まさにこのコピー通りの気持ちじゃないと、お店に入れませんw未だ続くコロナ禍で苦戦しているのではないかと、ちょっと心配しています。

さて、ここまで私の『好きなコピー』と『嫌いじゃないコピー』について、好き勝手に書かせていただきましたが、改めてコピーの奥深さをや楽しさを感じます。

コピーライターの個性や力量によって、コピーの切り口も表現も千変万化。「いやぁ、コピーって本当にいいもんですね。」私も仕事がある限り、現役コピーライターとして頑張ります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも広告業界にまつわる『あれやこれや昔の話』を思い出しながらアップしていきますので、宜しくお願いいたします。

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皆さま、こんにちは!そして、こんばんは!コピーライターのMです。今日はネット上やコピー関連の本で見かける「コピーは誰にでも書ける」という謳い文句について、私なりの考えを書きます。どうぞお付き合いください。



「コピーは誰にでも書ける。」から、問題なんです。


はじめに答えをいいます。「コピーは誰でも書ける」はホントです。コピーは小説ようにゼロから創作する文学作品とは違い、決められた内容を伝える実用文ですから、普通に文章が書ける人なら、誰でも書けてしまいます。


しかし、それが問題なんです。誰にでも書けるからといって、企業が知って欲しいこと、また製品やサービスのセールスポイントなどを、真面目に列記するだけでは、誰の興味も引きませんし。読んでもくれません。


コピーの本
▲このコロナ禍で読み直したり、新たに読んだりした本の一部です。


皆さんの中にも、自社のECサイトやチラシなどのコピーを、ネットや本を参考にして一生懸命に書いたのに、上手くいかなかったという方がいらっしゃるのでは?そもそも最初から広告を見よう、コピーを読もうとする人は、同業者ぐらいです。

多くの人は余ほど興味のある製品やサービス以外の広告なんて読みませんし、「どうせ広告は、自分たちに都合の良いことしか書かれていない。」と思っています。
増してやSNSがすっかり浸透し、「あの店は最高だった!」「この製品はちょっと使いづらいw」など、個人レベルで情報が行き交う現在では尚更です。


「コピーは誰にでも書ける。」から、差が出るんです。


そんな人々をキャッチフレーズで振り向かせ、ボディコピーへと惹き込んで、広告を読ませるのがコピーライターです。何より大事なのは、企業が知って欲しいこと、製品やサービスのセールスポイントを、そのまま鵜呑みにするのではなく、しっかりと咀嚼すること。そして、どのようなアプローチや表現をすれば、ターゲットの消費者に伝わるのかを考えます。


時に、問いかけたり、脅かしたり、説得したり、また共感させたり…と、コピーのアプローチと表現の仕方はさまざま。コピーは実用文ですが、書けば書くほど、奥が深いものなのです。


同じ製品やサービスでもコピーライターによって表現は千変万化。それが広告であれ、セールスツールであれ、またオフラインやオンラインも関係なく、それぞれのコピーライターの個性や力量が滲み出てしまいます。そうでなければ、どのコピーライターに仕事を依頼しても同じということです。


「コピーは誰にでも書ける。」から、勘違いされるんです。


少し脱線しますが、まだパソコンもワープロさえも普及していない私が若い頃の話です。クライアントから「デザインのことはプロに任せるとして、コピーはこのように修正してください。」とよく赤字を入れられました。


クライアントにしてみると、コピーは日本語だから、「僕にだってわかるし、書けるんだ。」と思っていたのでしょうね。私は「コピーライターもプロなんだけど!」と怒りを抑えながら赤字を見ると、その大半はクライアントが伝えたいといっていた内容の追加や強調です。


それも、私が伝えるべき内容に優先順位をつけ、敢えて省いたり、表現を控えたりした箇所ばかり。そして、極めつけはコピーの言い回しを、教科書のような正しい日本語に修正する赤字です。


私は会社の裏にあった居酒屋で「あれもこれも伝えたいというのは、結局は何も伝わらないということですよね。」「コピーは正しい文章ではなく、伝わる文章のはずでしょ?」と先輩に不満を漏らしては、「気持ちはわかる。クライアントは手前味噌になりがちなんだよ。だから、広告制作会社が存在する意義があって、俺たちコピーライターは飯が食えるんだ。」と、なだめられていました。


「コピーは誰にでも書かる。」から、注意が必要なんです。



話を元に戻します。自分でコピーを書く時には、最低限注意すべき3つのポイントがあると思っています。どうしてもコピーを書くことだけに頭が行きがちですが、実際には書き出す前の準備と、書いた後にどれを選ぶのかも重要でなんです。

伝えることを決める:誰に何を伝えるべきなのか決めているか?

コピーを考える:伝えるべき内容を切る口を変えて考えているか?

コピーを選ぶ:書いたコピーを見るターゲットの気持ちで選んでいるか?

この①②③のプロセスが、コピーを書くということです。


堅苦しい言い方をすれば①はコミュニケーション戦略。②は伝えるべき内容を一つの視点に拘らず、視点を変えて違うアプローチの仕方や言い方を探る。③はどのコピーをプレゼンするのか?どれを決定案にするのか?独りよがりにならず、迷ったら、そのコピーを見たり、読んだりするターゲットの気持ちになって選ぶ。

ネット上やコピー関連の本には、コピーを幾つかのパターンに分けて、解説しているもの多くがあります。最初はそれを読んで真似るのも良いかもしれません。私も新人の時は、先輩の書いた広告原稿をリライトしました。パターンを覚えるのは一つの武器にはなります。
しかし、パターンは絶対ではありません。パターンにはまり過ぎると、そこから抜けられなくなってしまいます。


最後に、また答えをいいます。「コピーは誰にでも書ける。」はホントであり、またウソです。長年コピーライターをやっていますが、向き不向きはあると思います。でも、その“ウソ”は、コピーの基本を知って書きはじめることで、“ホント”になるでしょう。いずれにせよ、謳い文句として、「コピーは誰にでも書ける。」の効果は認めますw

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。不定期になりますが、今後も「コピーライターという仕事」について、私なりの考えを色々とアップしますので、宜しくお願いいたします。

 

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